『「判断するのが怖い」あなたへ 発達障害かもしれない人が働きやすくなる方法 』を読んだ

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「判断するのが怖い」あなたへ 発達障害かもしれない人が働きやすくなる方法 を読んだ。

@kotorikoさんが紹介していた本。Kindle Unlimitedで読める。

「判断するのが怖い」というタイトルはピンとこなかったが、読んでみたところときどき仕事や私生活で発生して困る問題とその対処法が書かれていて役に立つ内容だった。

仕事の進め方や周囲との働き方、私生活でのコミュニケーションで「これは言われてもできない」「これはとても難しい」と思うことがいろいろある。 この本を読んでいろいろな学びがあったので、今後も役に立ちそうなところをメモしておく。

「判断するのが怖い」という場面で起こっていること

たくさんあげられていた中で「これは思い当たる」と言うことをメモしておく。

1. やるべき作業がなかなか腑に落ちないので判断が遅くなる

  • 思えば日常生活でも「腑に落ちない」と思うことがよくある。その状況を表すのに便利な日本語だと思う。
  • 具体的にどんなことをすればいいのか結論づけるのが苦手で、とくにはじめてのことや以前とやり方が変わったこと、会議で二転三転して決まったことだと腑に落ちるまでの時間がかかる。
  • イメージするのが苦手、曖昧な物事が苦手という特性がモロに出ていると感じる。特性の掛け合わせで生じがち。(漠然とした指示や曖昧な言い方をされると理解できない/イメージすることが苦手なので経験がないことはハードルが高く感じる/アウトプットの精度の加減がわからない)

2. 自分の理解した内容が他者と異なる

  • これは日常生活でよく感じる。なぜズレたのかすらわからないので困る。

3. 過不足なく説明することが苦手

  • 認識が間違っていないか擦り合わせるためには早い段階で質問して認識のズレを防ぐ必要があるが、そのときにこの特性が邪魔してくる。

このような問題は一般に誰もが困っていることだと思っていたが、働く中でそうでもないと知って過去に驚いたことがある。

「判断」を行うまで3つのステップと特性の関係

「判断」を行う際には情報の入力・処理・出力という3つのステップがあり、それぞれのステップで特性によってうまくプロセスが進まないことがある。 焦って「出力」を早く行うことばかり考えず、入力・処理・出力の各ステップで起こっていることを理解し、特性に応じて留意点を覚えておくと良い。

情報を入力するステップ

「聴覚からの情報の入力が苦手」という特性がある(自分にこの特性があることは早くから理解していた)。

その対策としては下記。

  • まずテキストで共有してもらう。そのあとに短時間でよいので口頭説明を受けたり、その場でわからないことを質問して、業務の具体的なイメージを持てるように補完する
    • 指示内容の確認だけであれば、おおむね指示があった後から一両日中に済ませておくことが望ましい

情報を処理するステップ

「イマジネーションが苦手」という特性がある(これは自分に当てはまるかピンとこない)。 「部分」から「全体」を推し量る、想像することが苦手で、どうしても細かな「部分」に注意が向いてしまいがち(これはわかるような気がする)。

業務を依頼する側の説明が部分だけだったり、手順の説明だけだったりという場合はよくある。イマジネーションが苦手という特性があると、以前からの脈絡がうまくとらえられずに、自分のやるべき業務がなかなか腑に落ちないということが生じる。

対策としては下記。

  • 具体的な作業工程や全体における自分の仕事の役割の把握を、着手する前に行う。
    • 「全体」の状況や状態がよくわからないまま作業に着手すると、だんだん「部分」だけに注意が向き、そこにとらわれてしまう。
    • 作業のイメージが掴みにくいと下準備・資料集めに時間を費やしてしまいがちなので、「◯時間」と時間を区切る。
  • 「全体を100とすると、今どれくらい進んでいるか?」といったキーセンテンスをあらかじめまとめておく。
    • 本筋に戻ったり全体を見渡すのに利用する。
  • 全体が掴めたら具体的なアクションを組み立てる。この時点でボリューム・やり方・納期を上司などに確認する。

情報を出力するステップ

「基準が曖昧な物事の程度や度合いを把握するのが苦手」という特性がある。 またこれは物事の経緯を過不足なく切り取り説明することが苦手という特性につながる(これも自覚している)。

対策としては、最初に言いたいことの主題を言う(「できないと思うので相談したい」「本日納期の資料はまだ提出できない状態です」)と書いてあったが、もっとうまい対処法がないか知りたいと思った。


ここまで読んで改めて、プログラマとして働いていることでツールに助けられている部分が多いと思った。「多様な人が作業を平準化できるようにする」さまざまなツールがあり、それを気軽に導入にできるのがソフトウェア業界のいいところだと思う。

役に立ちそうなこと

明日からやれること

1. 毎日10分日報を書く

  • 時系列で書き出すことにより「なんとなく雑然と色々なことをやった」という感覚を整理できる。
  • 1日の言動や行動を客観視することで軌道修正が図りやすくなる。
  • 頭の中をトレースする感覚で書く。20分以上かけないようにする。

2. 上司とマンツーマンで定期的に短時間メモしながら面談する

  • まさに1on1でやっていることなので、続けたい。

職場でよく出てくる言葉をわかりやすく言い換える

職場でよく出てくる言葉は、字義通りに解釈しようとしてもうまくいかないことがある。特性がある人にとってわかりやすい言い方で言い換えたものが下記。

「優先順位をつける」

  • 複数の業務を適切な部分で区切ること
  • 区切り区切りでアウトプットすること

「効率良くやる」

  • 現在自分が認識している作業工程、内容、ボリューム、スケジュールを書き出すこと
  • 書き出したものベースに上司と相談して適正化を図り、適正化したあとで改めて取り掛かること

この本は発達障害グレーゾーンの人が仕事の中で抱えやすい困り事を解説し、対処法や周囲の人との関わり方、セルフケアの方法を紹介するという内容になっている。 また発達障害グレーゾーンの当事者に限らず、そうした特性を持つ他者とどのように付き合っていくかを考える上でも役に立つことが多いと思う。

このブログでは書かなかったが、本書では発達障害とは、その特性とはといった基本的な内容から実際の事例、カウンセリングの使い方、アンガーコントロールの方法なども取り上げられている。丁寧に書かれているので興味がある人は読んでみていただきたいと思う。